マラソン世界記録の歩み
マラソンの世界記録は、1960年ローマ五輪のアベベ・ビキラ(2時間15分16秒)から始まります。記録はその後、コースや路面の整備、シューズの進化とともに少しずつ縮まっていきました。1967年から1969年にかけてデレク・クレイトンが初めて2時間10分を切り、1980年代以降はベルリン、ロッテルダム、シカゴといった平坦で速いコースが記録更新の舞台になります。
2004年にWorld Athleticsがマラソン世界記録の公認制度を始めるまでの記録は、正式には「世界最高記録(World Best)」として区別されます。公認第1号は2003年のポール・テルガト(2時間04分55秒・ベルリン)でした。
近年はケニア・エチオピア勢が記録を担い、エリウド・キプチョゲが2018年に2時間01分39秒、2022年に2時間01分09秒。2023年にはケルビン・キプタムが2時間00分35秒と2時間の壁に迫り、本サイトの現行データではサバスティアン・サウェが初めて2時間を切る記録(1時間59分30秒・ロンドン)を残しています。
日本が世界の先頭にいた時代
意外に思われるかもしれませんが、1960年代の日本はマラソン世界記録の保持国でした。1963年の寺沢徹(2時間15分15秒・別府)、1965年の重松森雄(2時間12分00秒)は、当時の世界最高記録です。1964年東京五輪でビキラが五輪連覇を達成したのも、この時代でした。
その後の日本記録は宗茂、瀬古利彦、中山竹通らを経て、2021年に鈴木健吾が日本人初の2時間05分切り(2時間04分56秒)。現在は大迫傑が2時間04分55秒(2025年・バレンシア)で日本記録を保持しています。
女子:競技が開かれてから
女子マラソンの記録は男子より歴史が新しく、変化も急でした。公認記録の出発点は1964年のデール・グレイグ(3時間27分45秒)。女性の長距離参加が広がった1970年代に記録は一気に短縮し、グレーテ・ワイツやジョーン・ベノイトらが牽引します。2001年には高橋尚子が女性として初めて2時間20分を破り(2時間19分46秒・ベルリン)、世界記録保持者となりました。2003年のポーラ・ラドクリフ(2時間15分25秒)は16年間破られなかった記録です。現行データの最新世界記録は2024年シカゴのルース・チェプンゲティチ(2時間09分56秒)で、女子で初めて2時間10分を切りました。
日本の女子記録も高橋尚子、野口みずきと続き、野口の2時間19分12秒(2005年)は長く残りました。2024年大阪で前田穂南が2時間18分59秒を出し、約19年ぶりに更新しています。